ユベントスがおかしい。リーグ戦4連覇中の王者は開幕でまさかの2連敗。
内容で押されまくったキエーボにはPKで辛くもドローを得て、A初昇格のフロジノーネには
ユベントス・スタジアムでなんとドローを許した。第6節のナポリ戦では、2-1というスコア以上に完敗というありさまだ。
その間のエクスキューズはあった。アルトゥーロ・ビダルの抜けた中盤に補強されたサミ・ケディラ、
退団したアンドレア・ピルロからレジスタの座を継いだクラウディオ・マルキージオ、そしてカルロス・テベスの
代わりにFWの主軸となったアルバロ・モラタと、新たにセンターラインの軸となる選手たちが揃って
故障欠場すれば影響は多大だ。
第一そんなチーム状態の中でも、チャンピオンズリーグ(CL)ではマンチェスター・シティやセビージャから
勝利を収めている。故障者の復帰とともに、じきに良くなる――。地元メディアや評論家は、
そんな楽観視をしていたものである。
ところが、彼らが復帰をしてもペースが上がらない。18日のインテル戦では、アウェーで後半は
優勢に戦いながら相手の守備を崩しきれずにスコアレスドロー。21日のボルシアMG戦も然りで、またも0-0。
CL初出場のチームを応援するため頑張ってトリノまで遠征してきた約800人のサポーターを満足させて
メンヒェングラードバッハに帰してしまった。
両試合でもポゼッションは上回っているし、攻めながらも守備は破綻していない。
しかし両試合ともにチャンスを仕留めきれず、昨シーズンに見せていたゴール前での勝負強さは影を潜めている。
ここで真っ先に頭に浮かぶのが、当然ながらテベスの不在だ。ユーベの2年間で計50ゴールという得点力を
誇った彼は、相手の守備が堅いときでも単独で突破し、シュートをねじ込んでくれる頼れるストライカーだった。
その退団にあたり経験豊富なマリオ・マンジュキッチにイタリア代表のシモーネ・ザザ、
そして3200万ユーロの値が付いたパウロ・ディバラらを一気に補強しながらこの体たらくでは、
単純にテベスの得点力を誰もカバーできていないからだという言い方も出来る。
しかし事情は、もう少し複雑である。テベスの穴は、戦術面で大きく堪えているのだ。アントニオ・コンテから
バトンを引き継ぐにあたり、マッシミリアーノ・アレグリ監督は速攻型のチームに細かいショートパスでの
組み立てという色をつけたが、テベスは前線でのつなぎ役としても機能した。
中盤を助けてショートパスを散らしたり、密集地でパスを通したり、あるいはドリブルでこじ開けたりといった
チャンスメイクが、攻撃面での重要なアクセントとなっていた。
このタスクを、現状では誰も補えていないのだ。マンジュキッチの仕事はエリア内に限定され、
前線で体が張れてスピードのあるザザにもテベスの繊細な技術は望めない。
ディバラには高い技術があるが、一方で線が細くて相手の当たりに苦労している。
前所属のパレルモではゴール前の仕事に集中させて伸びた選手なので、使い方が間違っているとも言えるが…。
もっとも前線のつなぎやチャンスメイクの欠如という問題は、トップ下の選手をおけば解決しそうなことだ。
現にユベントスはトップ下の補強を画策していたが、ご存知の通りユリアン・ドラクスラーの獲得に失敗。
振り返ればユベントスの不振は、結局これが要因となっている印象がある。
現にアレグリ監督はここまで、布陣を固めきれていない。故障者の影響もあるが、
4バックや3バックの選択といい2トップの組み合わせといい、ほぼ毎試合ごとに変更されている。
ドラクスラー獲得失敗の穴埋めとして引き入れたエルナネスも使いこなせていない。
システムの使い分けや積極的なターンオーバーは昨シーズンも多用していたが、
ショートパスを主体にした速攻の形は選手の顔ぶれやシステムにかかわらず一貫していた。
しかし今はそれが機能せず、結果的に組み立てはポール・ポグバに無理して頑張ってもらうか、
そうでなければファン・クアドラードのドリブル突破一辺倒になっている。
「トップ下を取れ、というアレグリ監督からのリクエストはなかった。それに我々は選手の若返りを通して
チームの刷新を図っている。単に今シーズンが特別だということだ」。23日、ジュセッペ・マロッタGMは
地元メディアに対し弁明した。
しかし存在感の多大だった選手を置き換えるという作業は、やはり簡単なものではない。
成績が出なければアレグリ監督の進退問題にも発展するだろう。若手の成長を見守るということも含め、
ユベンティーノたちにとって我慢の時は続く。
http://www.footballchannel.jp/2015/10/25/post116117/3/
内容で押されまくったキエーボにはPKで辛くもドローを得て、A初昇格のフロジノーネには
ユベントス・スタジアムでなんとドローを許した。第6節のナポリ戦では、2-1というスコア以上に完敗というありさまだ。
その間のエクスキューズはあった。アルトゥーロ・ビダルの抜けた中盤に補強されたサミ・ケディラ、
退団したアンドレア・ピルロからレジスタの座を継いだクラウディオ・マルキージオ、そしてカルロス・テベスの
代わりにFWの主軸となったアルバロ・モラタと、新たにセンターラインの軸となる選手たちが揃って
故障欠場すれば影響は多大だ。
第一そんなチーム状態の中でも、チャンピオンズリーグ(CL)ではマンチェスター・シティやセビージャから
勝利を収めている。故障者の復帰とともに、じきに良くなる――。地元メディアや評論家は、
そんな楽観視をしていたものである。
ところが、彼らが復帰をしてもペースが上がらない。18日のインテル戦では、アウェーで後半は
優勢に戦いながら相手の守備を崩しきれずにスコアレスドロー。21日のボルシアMG戦も然りで、またも0-0。
CL初出場のチームを応援するため頑張ってトリノまで遠征してきた約800人のサポーターを満足させて
メンヒェングラードバッハに帰してしまった。
両試合でもポゼッションは上回っているし、攻めながらも守備は破綻していない。
しかし両試合ともにチャンスを仕留めきれず、昨シーズンに見せていたゴール前での勝負強さは影を潜めている。
ここで真っ先に頭に浮かぶのが、当然ながらテベスの不在だ。ユーベの2年間で計50ゴールという得点力を
誇った彼は、相手の守備が堅いときでも単独で突破し、シュートをねじ込んでくれる頼れるストライカーだった。
その退団にあたり経験豊富なマリオ・マンジュキッチにイタリア代表のシモーネ・ザザ、
そして3200万ユーロの値が付いたパウロ・ディバラらを一気に補強しながらこの体たらくでは、
単純にテベスの得点力を誰もカバーできていないからだという言い方も出来る。
しかし事情は、もう少し複雑である。テベスの穴は、戦術面で大きく堪えているのだ。アントニオ・コンテから
バトンを引き継ぐにあたり、マッシミリアーノ・アレグリ監督は速攻型のチームに細かいショートパスでの
組み立てという色をつけたが、テベスは前線でのつなぎ役としても機能した。
中盤を助けてショートパスを散らしたり、密集地でパスを通したり、あるいはドリブルでこじ開けたりといった
チャンスメイクが、攻撃面での重要なアクセントとなっていた。
このタスクを、現状では誰も補えていないのだ。マンジュキッチの仕事はエリア内に限定され、
前線で体が張れてスピードのあるザザにもテベスの繊細な技術は望めない。
ディバラには高い技術があるが、一方で線が細くて相手の当たりに苦労している。
前所属のパレルモではゴール前の仕事に集中させて伸びた選手なので、使い方が間違っているとも言えるが…。
もっとも前線のつなぎやチャンスメイクの欠如という問題は、トップ下の選手をおけば解決しそうなことだ。
現にユベントスはトップ下の補強を画策していたが、ご存知の通りユリアン・ドラクスラーの獲得に失敗。
振り返ればユベントスの不振は、結局これが要因となっている印象がある。
現にアレグリ監督はここまで、布陣を固めきれていない。故障者の影響もあるが、
4バックや3バックの選択といい2トップの組み合わせといい、ほぼ毎試合ごとに変更されている。
ドラクスラー獲得失敗の穴埋めとして引き入れたエルナネスも使いこなせていない。
システムの使い分けや積極的なターンオーバーは昨シーズンも多用していたが、
ショートパスを主体にした速攻の形は選手の顔ぶれやシステムにかかわらず一貫していた。
しかし今はそれが機能せず、結果的に組み立てはポール・ポグバに無理して頑張ってもらうか、
そうでなければファン・クアドラードのドリブル突破一辺倒になっている。
「トップ下を取れ、というアレグリ監督からのリクエストはなかった。それに我々は選手の若返りを通して
チームの刷新を図っている。単に今シーズンが特別だということだ」。23日、ジュセッペ・マロッタGMは
地元メディアに対し弁明した。
しかし存在感の多大だった選手を置き換えるという作業は、やはり簡単なものではない。
成績が出なければアレグリ監督の進退問題にも発展するだろう。若手の成長を見守るということも含め、
ユベンティーノたちにとって我慢の時は続く。
http://www.footballchannel.jp/2015/10/25/post116117/3/
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