Jリーグのクラブが世界の強豪に挑む――。
セレッソ大阪は17日に行われる『StubHubワールドマッチ2017』で、鹿島アントラーズは22日の『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』でスペインのセビージャと対戦する。
世界最高峰のリーグに所属し、ヨーロッパリーグ3連覇など数々の偉業を成し遂げてきた相手に対し、Jリーグのクラブがどのような戦いを見せるのか。選手にとってはトップレベルのプレーを体感できるまたとない機会となるだけに、注目されるところだ。
開催に際し、セビージャがどのようなチームなのか、改めて振り返っていこう。
今回はセビージャというクラブの特徴や本質に迫っていく。彼らはどのような思想を持ち、どのような歴史を重ねてきたのか。
スペインの大手メディア『マルカ』で記者を務めるロシオ・ゲバラが紐解く。
■セビージャは“決して降参しない”
セビージャのサポーターを意味する“セビジスタ”は、一つの宗教である。
血と誇りがモチベーションであり、一つの大きなファミリーを形成する。それはつまり、単なるファンの域を越えた「信仰」とすら呼べるものなのだ。
熱烈なセビジスタに支えられたセビージャは、近年のリーガ・エスパニョーラで着実に道を切り開いてきた。多くの者にとっては煩わしく、ある者にとってはサプライズとなり、そしてまたある者にとって情熱的な事態が起きてきた。現在、スペインのフットボール界は決してレアル・マドリーとバルセロナだけで語れる世界ではなくなってきている。アトレティコ・マドリーが加わり、セビージャもまた彼らを追走する。
クラブのイムノ(応援歌)で歌われているように、セビージャは“決して降参しない”。毎年のようにビッグクラブとの覇権争いに美しいフットボールで真っ向から挑み、決勝の舞台に立ってきた。そして、勝利をつかみ取ってきたのだ。
■2部から国際タイトルをつかむまで
輝かしい時代を築き始めたのは2000年代に入ってからだった。
経済的な戦い、信頼できるロッカールーム、そしてセビージャの旗印を掲げたカンテラ選手によって、クラブは2000-2001シーズンにセグンダ・ディビシオンからの脱却に成功した。
そこからだ、伝説が始まったのは。
昇格からわずか5年後の2005-06シーズン、セビージャはオランダのアイントホーフェンにいた。UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)決勝でイングランドのミドルズブラと対戦するために。試合は4-0のワンサイドゲームとなった。90分間の戦いを終えて喜びを爆発させたのは、アンダルシアのチームだった。
以降、国内ではコパ・デル・レイを2度制し、グラスゴー、トリノ、ワルシャワ、そしてバーゼルで国際タイトルを獲得した。ヨーロッパリーグ(UEFAカップ時代も含む)を5度制したことのあるクラブは、他ならぬセビージャだけだ。
まだ戦いの舞台が2部だった2000年当時、欧州最高峰の大会でセビージャのエスクード(紋章)が掲げられるなど、誰が想像しただろうか。仮にいたとしても、ほんの一部の夢見がちな人たちだったに違いない。しかし、彼らは正しかった。セビージャが成し遂げてきたことを振り返れば、そう言わざるをえないだろう。
■誇りを胸に、さらに前へ
彼らは国際タイトルを獲得するほどのクラブとなった。しかし、未だハングリーな姿勢を失っていない。
2017-2018シーズンに向け、再び大きな投資を行っている。セルタからエドゥアルド・ベリッソを呼び寄せ、放蕩息子エベル・バネガの復帰に尽力し、前線で刃を振るうルイス・ムリエルを獲得した。さらにこの原稿が公になる頃にはステファン・ヨベティッチ、ヘスス・ナバス、ノリートが続いているかもしれない。
首脳陣はレアル・マドリーとバルセロナ、さらにアトレティコと対峙するリーガを制することが困難なミッションであることを理解しているが、同時にその戦いに加わることができることも分かっている。そして成長を続け、チャンピオンズリーグでも成果を上げたいと願っている。
1958年大会を最後に、彼らはベスト16の壁を破ったことがない。昨シーズンは大きなチャンスを迎えていたが、その機会もレスターによって葬られてしまった。新シーズンに懸ける思いが強くないはずがない。
野望と誇りにおいてセビージャと肩を並べられるクラブはそう多くない。
そして野心に溢れたクラブは、自分たちがどこまで到達できるかを示したがるものだ。
限界は遥か空の彼方にある――。
セビジスタの誇りを胸に、彼らは新たな戦いへ、歩みを進めていくのだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170715-00000017-goal-socc
セレッソ大阪は17日に行われる『StubHubワールドマッチ2017』で、鹿島アントラーズは22日の『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』でスペインのセビージャと対戦する。
世界最高峰のリーグに所属し、ヨーロッパリーグ3連覇など数々の偉業を成し遂げてきた相手に対し、Jリーグのクラブがどのような戦いを見せるのか。選手にとってはトップレベルのプレーを体感できるまたとない機会となるだけに、注目されるところだ。
開催に際し、セビージャがどのようなチームなのか、改めて振り返っていこう。
今回はセビージャというクラブの特徴や本質に迫っていく。彼らはどのような思想を持ち、どのような歴史を重ねてきたのか。
スペインの大手メディア『マルカ』で記者を務めるロシオ・ゲバラが紐解く。
■セビージャは“決して降参しない”
セビージャのサポーターを意味する“セビジスタ”は、一つの宗教である。
血と誇りがモチベーションであり、一つの大きなファミリーを形成する。それはつまり、単なるファンの域を越えた「信仰」とすら呼べるものなのだ。
熱烈なセビジスタに支えられたセビージャは、近年のリーガ・エスパニョーラで着実に道を切り開いてきた。多くの者にとっては煩わしく、ある者にとってはサプライズとなり、そしてまたある者にとって情熱的な事態が起きてきた。現在、スペインのフットボール界は決してレアル・マドリーとバルセロナだけで語れる世界ではなくなってきている。アトレティコ・マドリーが加わり、セビージャもまた彼らを追走する。
クラブのイムノ(応援歌)で歌われているように、セビージャは“決して降参しない”。毎年のようにビッグクラブとの覇権争いに美しいフットボールで真っ向から挑み、決勝の舞台に立ってきた。そして、勝利をつかみ取ってきたのだ。
■2部から国際タイトルをつかむまで
輝かしい時代を築き始めたのは2000年代に入ってからだった。
経済的な戦い、信頼できるロッカールーム、そしてセビージャの旗印を掲げたカンテラ選手によって、クラブは2000-2001シーズンにセグンダ・ディビシオンからの脱却に成功した。
そこからだ、伝説が始まったのは。
昇格からわずか5年後の2005-06シーズン、セビージャはオランダのアイントホーフェンにいた。UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)決勝でイングランドのミドルズブラと対戦するために。試合は4-0のワンサイドゲームとなった。90分間の戦いを終えて喜びを爆発させたのは、アンダルシアのチームだった。
以降、国内ではコパ・デル・レイを2度制し、グラスゴー、トリノ、ワルシャワ、そしてバーゼルで国際タイトルを獲得した。ヨーロッパリーグ(UEFAカップ時代も含む)を5度制したことのあるクラブは、他ならぬセビージャだけだ。
まだ戦いの舞台が2部だった2000年当時、欧州最高峰の大会でセビージャのエスクード(紋章)が掲げられるなど、誰が想像しただろうか。仮にいたとしても、ほんの一部の夢見がちな人たちだったに違いない。しかし、彼らは正しかった。セビージャが成し遂げてきたことを振り返れば、そう言わざるをえないだろう。
■誇りを胸に、さらに前へ
彼らは国際タイトルを獲得するほどのクラブとなった。しかし、未だハングリーな姿勢を失っていない。
2017-2018シーズンに向け、再び大きな投資を行っている。セルタからエドゥアルド・ベリッソを呼び寄せ、放蕩息子エベル・バネガの復帰に尽力し、前線で刃を振るうルイス・ムリエルを獲得した。さらにこの原稿が公になる頃にはステファン・ヨベティッチ、ヘスス・ナバス、ノリートが続いているかもしれない。
首脳陣はレアル・マドリーとバルセロナ、さらにアトレティコと対峙するリーガを制することが困難なミッションであることを理解しているが、同時にその戦いに加わることができることも分かっている。そして成長を続け、チャンピオンズリーグでも成果を上げたいと願っている。
1958年大会を最後に、彼らはベスト16の壁を破ったことがない。昨シーズンは大きなチャンスを迎えていたが、その機会もレスターによって葬られてしまった。新シーズンに懸ける思いが強くないはずがない。
野望と誇りにおいてセビージャと肩を並べられるクラブはそう多くない。
そして野心に溢れたクラブは、自分たちがどこまで到達できるかを示したがるものだ。
限界は遥か空の彼方にある――。
セビジスタの誇りを胸に、彼らは新たな戦いへ、歩みを進めていくのだ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170715-00000017-goal-socc
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