2010-06-04-18-45-49
「ギリシャと日本は当初からグループリーグ敗退の可能性が高かった」

――コロンビアとコートジボワールが上に行くと確信していたということは、つまり、言い換えるまでもなく、その上に行く可能性がギリシャと日本にはないと見ていたということですね。

「いやいや、まさかそこまで断定的に見ていたわけでは決してない。この私も監督という仕事を長きに渡ってやっているのだから、勝負事の怖さはそれなりに知っているつもりだからね。

 ただ、純粋に戦力を見た場合、そしてそれを客観的に分析した上で、備えている総合力という意味ではやはりコロンビアとコートジボワールが上を行っていると、そう判断していたということだよ。

 それに、ギリシャと日本と言えば、両者とも私に忘れ難き美しい思い出を与えてくれた国、ギリシャ(アテネ)は私のミランがCLを制する舞台となった国だし、
一方の日本(横浜)で私たちはクラブ世界一という栄冠に輝いているのだからね、この二つの国を悪く言うなんてことは絶対にできないんだよ。

 と、まぁそれは本題とは関係のない話として、言えるのはやはり、その技術レベルという意味でギリシャと日本は当初からグループリーグ敗退の可能性が高かったと、むしろ上に行く可能性は極めて低いと私は見ていた。

 だが、その予想を覆してギリシャは決勝Tへ進んでみせた。単に堅いだけではない、柔軟性をも兼ね備えた守備の力で彼らギリシャは勝ち抜けてみせた。
攻め込まれても守り抜く。そのために必要な技術と精神力をやはりギリシャの選手達は持ち合わせていた。

 だからこそあれだけの結束力を示し得たのだろう。そして、このギリシャの戦い方を顧みながら今にして敢えて指摘すべきは、まさにその結束力を今大会のスペインとイタリアは欠いていたということだ。

 どんなに技術で劣ろうとも、チームとしての団結力で勝れば必ず勝機はある。団結力は執念と言い換えることも出来る。この事実を、まさに今大会のギリシャは見事に示してくれた。多くのチームが参考とすべき事例なのだろう」

――では、一方の日本代表についてはどのような印象を抱かれているのでしょうか?

「正直なところすべてを見てはないので確かなことは言えないんだが、私が見た限りにおいて言えば、やはりチームとしてのバランスを著しく欠いていたと指摘しなければならないのだろう。

 常に自分たちの側から仕掛けていこうとする姿勢、常に主導権を握ろうという考え方そのものは確かに素晴らしい。もちろん間違いではない。
高く評価されるべきとは思うのだが、やはりそこに最も重要なバランスを欠く場面が少なくはなかったというべきなのではないか。

 バランスを欠いているからこそ、折角の積極的な攻め自体が歪な形になっていたように思う。攻めの形が歪になれば、その歪みは守備に影響する」

http://news.livedoor.com/article/detail/9019843/